01住宅ローン控除とは??
住宅ローン控除が出来た背景
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用して住宅の新築、取得、または大規模な改修を行った場合に一定の要件を満たせば所得税と住民税から一定の金額を控除する制度(税額控除)です。
住宅ローン控除は、住宅を購入する人々を支援する非常に重要な政策です。住宅を購入する際、一度に多額の資金を用意するのは現実的には非常に難しいため、ほとんどの人が金融機関から住宅ローンを借ります。しかし、毎月のローン返済は家計に大きな負担をもたらすことがあります。この負担を軽減するために設けられたのが、住宅ローン控除です。この制度により、住宅ローンの支払いが必要な家庭にとって大きな節税効果が得られます。
具体的には住宅ローンの年末残高に対して現行0.7%の控除が適用されます。住宅の種類により異なりますが、年間で最大30万円以上の控除が可能であり、家計にとって大きな助けとなります。控除の適用期間は最大13年間にわたるため、長期的に見ると数百万円にのぼる控除を受けることができるポテンシャルを持っています。このような控除制度をうまく活用することで、住宅の購入費用を大幅に軽減できるため、多くの住宅購入者にとって非常に魅力的な選択肢となっています。これにより、実質的な住宅購入コストを抑えることができ、中長期的な家計の安定を図る手助けとなるでしょう。
住宅を購入することで、賃貸住宅に住む場合とは異なり、毎月の支払いが将来的な資産として積み上がっていきます。こうした資産形成を支えるために、住宅ローン控除は欠かせない制度となっています。
どのくらい税金が戻ってくる??
控除される上限額については、住宅の種類や居住年によって大きく異なりますが、令和5年以降の住宅では、控除額は年末ローン残高の0.7%となっています。この控除を受ける際、所得税の額が控除額を下回る場合には、住民税からも控除することが可能です。ただし、住民税からの控除には一定の上限があります。例えば、課税所得金額の5%(最大97,500円)までが基本ですが、特定の条件下では、最大で7%(136,500円)まで控除されることもあります。詳細については、事前に各市区町村のホームページなどで確認し、正確な理解を心がけることが大切です。税制は毎年見直されることがあるため、最新情報に目を配ることも賢明でしょう。
02住宅ローン控除を受けるための要件
購入した家が条件を満たしていれば、住宅ローン減税を利用できます。
主な条件
・自らが居住する住宅であること
・控除を受ける年の12月31日までに継続して居住していること
・住宅の床面積が50㎡以上
※登記簿謄本に記載されている面積になりますのでご注意ください
※2022年より所得1000万円以下で新築を購入する場合は40㎡以上も可
・床面積の50%以上が居住用であること
・申告する前年の所得金額が3,000万円以下であること
・住宅ローンの借入期間が10年以上
・長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていない
・2以上の住宅を保有している場合は主な居住用であること
・引き渡しから6ヶ月以内に居住すること
中古住宅の場合は以下の条件も必要になります
- 住宅が一定の耐震基準を満たしていること
※昭和57年1月1日以前に建てられた住宅の場合 - 買取再販住宅の場合は築年数が10年以上であること
- 一定の基準を満たしたリフォームが行われている
- 買取再販業者が取得して2年以内のもの
リフォームの場合は以下の条件も必要になります
・改修工事完了後6ヶ月以内に居住開始
・改修工事後の床面積が50㎡以上
・控除を受ける年の所得金額が2,000万円以下
03住宅ローン控除の金額や期間の早見表
2022年度の税制改正により、住宅の区分けが詳細化され、新築や買取再販住宅について4区分に分かれました。
まず、認定住宅とされるものには、①認定長期優良住宅・認定低炭素住宅、②ZEH水準省エネ住宅、③省エネ基準適合住宅が該当します。これらは、環境に優しい住宅と位置付けられ、税制上の優遇がなされています。④に分類される一般住宅は、これらの条件を満たさない住宅です。
04住宅ローン控除を受けるための手順
住宅ローン控除を受けるために初回だけ確定申告が必要です
次に、住宅ローン控除を受けるための手続きを解説します。給与所得者である会社員や公務員の方々は年末調整を行うため、通常は確定申告をする必要はありません。しかし、初めて住宅ローン控除を受ける際は、特別な手続きをとる必要があります。まず、住宅に初めて入居した翌年の2月16日から3月15日までの間に、確定申告を行います。この時期は、税務署が非常に混雑するため、余裕をもって準備することをお勧めします。
確定申告に必要な書類には、いくつかの重要なものがあります。住宅の購入に関する証明書類、ローン残高証明書、そして住宅取得に関連する契約書などが代表的です。さらに、建築確認済証や登記事項証明書などが必要になる場合もあります。これらの書類は、すべて間違いなく揃える必要があり、手続きに不備があると、控除が受けられない可能性があります。
そのため、事前にしっかりと準備を整え、書類の期限や要件をきちんと確認することが重要です。疑問や不明点がある場合は、税務署に相談することで、スムーズに手続きを進めることができます。
その後、2年目以降については、職場に「住宅ローンの残高証明書」及び税務署から送付された「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」を提出するだけで、住宅ローン控除を年末調整の中で受けることが可能となります。これらの手続きにより、節税効果をしっかり享受できるようにしましょう。
住宅ローン控除の枠内で所得税から控除しきれない場合でも、自己申告する必要はありません。この場合、所得税の確定申告や年末調整で集計された情報が、市区町村に自動的に通知されます。市区町村はその通知を受けて、住民税額を調整し、住宅ローン控除を住民税から適用します。これにより、納税者の税負担が軽減される仕組みになっており、本来の目的である住宅取得に伴う負担の緩和が図られます。
2年目以降の手続き
給与所得以外に収入がない場合は、2年目以降の年末調整で住宅ローン控除を受けることができます。年末調整を行うことで、直接税務署に行かずに簡単に必要な手続きを済ませられるのがメリットです。
ここで注意していただきたいのは翌年以降の申告書(給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書)が1年目の確定申告後に、住宅ローン控除の適用年数分が税務署からまとめて送られてきます。適用期間中大切に保管して、毎年1通ずつ勤務先に提出しなければなりません。万一紛失した場合は、税務署に申請して再発行してもらう必要があります。
一方で、自営業者やフリーランス、そして年収2,000万円以上の会社員は、2年目以降も確定申告が必要です。確定申告により、必要な書類を揃えて税務署で手続きを行い、控除を受けることが求められます。これには多少の手間がかかりますが、適切に行えば住宅ローン控除を正しく受け続けることができます。
初年度の確定申告を忘れた場合
確定申告対象の年から5年以内であれば申請できます!
住宅ローン控除の還付申告書の提出期限は、住宅に入居した翌年1月1日から5年以内です。5年以内であれば還付申告書を提出できるため、期限を過ぎないよう余裕をもって申請しましょう。
年末調整を忘れた場合
2年目以降の住宅ローン控除については、勤務先の年末調整で手続きすることが出来ます。ですが、師走の忙しさに紛れて、手続きをうっかり忘れてしまうこともあるかもしれません。そんな場合、どうしたらいいのでしょうか?
年末調整を忘れてしまった場合、取るべき手続きは2つあります。
[1]勤務先で再度、年末調整をしてもらう
[2]自分で確定申告をする
この2つの手続きのうちいずれかを取れば、年末調整を忘れてしまっても、住宅ローン減税を受けることが出来ますのでご安心ください。
05まとめ
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用してマイホームを購入、新築、またはリフォームした際に受けられる非常に有用な制度です。住宅ローン控除を利用することで、家計を大いに支えることができます。
年末時点の住宅ローン残高に応じて、支払った所得税の一部が返ってくるという形で税金の控除が受けられます。さらに、控除額が所得税を上回る場合には住民税からも一部が控除されるため、総合的な税負担が軽減されます。
住宅ローン控除は最大で13年間にわたり適用され、その間に最大455万円もの控除を受けることが可能です。これにより、長期間にわたって家計に余裕をもたらすことが可能となります。特に初めて住宅を購入する方や、住環境を改善したい方にとって、大きな後押しとなるでしょう。
住宅を購入する際には、ぜひ住宅ローン控除の利用を考えてみてください。住宅ローン控除が、マイホームの夢を現実にする助けになるかもしれません。マイホーム購入前にその住宅がどのような種類の住宅でいくら住宅ローン控除が受けられるか事前に確認することをお忘れないようになさってください。