はじめに:マイホーム購入に「安心」は欠かせない
家を買う――それは人生で最も大きな買い物と言われることもある、重要な選択です。住宅ローン、契約書、登記など、普段なじみのない専門用語や手続きが並び、初めての方には「よくわからないまま進んでしまう」不安もつきもの。
しかし、正しい順序とポイントを押さえれば、不動産購入はもっと安心して進められます。
このコラムでは熊本で中古住宅を購入しようとする方に向けて、失敗を防ぐための8つのステップを解説します。
ステップ1:資金計画の立て方
購入前にまずすべきことは「資金計画の整理」です。
不動産のチラシや広告に掲載されている価格は、あくまで「物件本体の価格」です。実際の購入にはそれ以外にもさまざまな費用がかかります。
【主な諸費用の内訳】
▶ 注意:近年は火災保険料が上昇傾向にあり、5年一括契約で数十万円になるケースも。保険料の見積もりも早めに確認しておきましょう。
- 登記費用(所有権移転、抵当権設定など)
- 仲介手数料(上限は「売買価格×3%+6万円+消費税」)
- 住宅ローン手数料(事務手数料、保証料など)
- 火災保険料・地震保険料(ローン借入時に必須)
- 印紙税(契約書に貼付)
- 固定資産税・都市計画税の精算金
- 引越し費用・家具購入・リフォーム費など(必要に応じて)
このように、物件価格に対して「6~10%前後」が諸費用として別途かかるのが一般的です。また、住宅購入では「いくら借りられるか」よりも「無理なく返せる金額か」を重視することが大切です。子どもの教育費、車の買い替え、老後資金など将来の支出も見越し、余裕のある返済計画を心がけましょう。
▶ チェックポイント
自己資金(頭金)と借入可能額を確認
月々の返済額から無理のない総額を逆算
ローン減税や補助金(例:子育て世帯・ZEH補助など)の活用も視野に
▶ ワンポイント:返済比率は年収の25〜30%が理想。"借りられる金額"より"返せる金額"で考えよう。
近年では、共働き世帯が増えていることから、夫婦で収入を合算して住宅ローンを組むケースも増えています。この場合、それぞれの収入に応じた返済分担が可能となるため、より高額な住宅の購入も視野に入ります。ただし、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を有効に使うためには、それぞれが連帯債務者やペアローンなど適切なローン契約を結ぶ必要がある点に注意が必要です。
▶ 補足:夫婦で借入をする際は、それぞれが控除を受けられるように、登記割合やローン契約方法を慎重に検討しましょう。
また、他にローンを組んでいる場合(例:自動車ローン、教育ローン、カードローンなど)、その返済額が住宅ローン審査に影響することがあります。とくに、車のローンがある場合は借入希望額が減らされることもあるため、住宅ローン審査の前に完済できるかどうかを検討するのもひとつの方法です。
▶ 注意:住宅ローンの審査に影響するため、車など高額ローンの新規契約は家の購入後に行うのがベターです。
補足:住宅ローン控除について
住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)とは、年末の住宅ローン残高の0.7%(※2025年時点)を、所得税や住民税から最大13年間控除できる制度です。
ただし実際には、「その金額を全額控除できるほどの納税額があるかどうか」がポイントになります。とくに年収がそこまで高くない方や、扶養控除・保険料控除などが多い方の場合、想定より控除額が少ないこともあります。
▶ 例:年間控除上限が20万円あっても、所得税が15万円しか課税されていなければ控除は15万円まで。
この制度を上手に使うことで、実質的な住居費負担を軽減できます。
適用条件(一部抜粋):
- 自らが居住する住宅であること
- 床面積が50㎡以上(所得に応じて40㎡以上も対象)
- ローンの返済期間が10年以上
- 合計所得が2,000万円以下 など
▶ 夫婦で収入合算する場合のポイント
夫婦それぞれが一定の収入を持っている場合、ペアローンや連帯債務で住宅ローンを組むと、それぞれが住宅ローン控除を受けられる可能性があります。お子さまが多い世帯などでは、扶養控除などの影響で一方の納税額が少ないケースもあり、夫婦それぞれで控除を分けて活用するほうが、制度を無駄なく使えることもあります。
登記上の持分やローンの契約形態が控除の可否に関わるため、事前に税理士や不動産会社に相談しておくと安心です
▶ クラブハウスエステートでは、物件選びだけでなく、資金計画の立案から住宅ローンの申込・比較・手続きまで一貫してサポートしています。金融機関ごとの特徴や最新制度も踏まえて、無理のない返済計画をご提案いたしますので、初めての住宅購入でもどうぞ安心してご相談ください。
ステップ2:希望条件を整理する
次に「どんな家が欲しいか」を具体的にします。
立地:通勤・通学・買い物の利便性
建物タイプ:戸建て・マンション・新築・中古など
必要な部屋数・広さ・庭や駐車場の有無
優先順位を明確に:「絶対条件」「妥協できる条件」に分ける
▶ 例:『学区は絶対』『築年数は妥協できる』など、家族で話し合っておくとスムーズです。
ステップ3:物件見学と現地確認
気になる物件が見つかったら、必ず現地見学を。
日当たりや風通し、騒音など図面では分からない部分
隣地との距離、境界の明示、敷地の高低差などもチェック
平日と休日、昼と夜など複数の時間帯で見るとベスト
▶ 再建築の可否やインフラ整備状況(上下水道・ガス)も要チェックポイント。
ステップ4:購入申込と条件交渉
▶ 理想は、買主側にも物件の専門的なアドバイスをしてくれる“第三者的な立場のプロ”がついてくれること。 ホームインスペクション(建物状況調査)を依頼する以外にも、信頼できる建築士や経験豊富な不動産業者が現地を一緒に見てくれると、目に見えないリスクや、後で費用がかかりそうなポイントも早期に指摘してもらえます。初めての不動産購入においては、こうした専門家の存在が“見えない安心”につながります。
購入意思が固まったら「買付証明書(購入申込書)」を提出。
▶ 補足:買付証明書はあくまで“購入の意思を示す”ための書類であり、法的な拘束力はありません。提出したからといって必ず買わなければいけないわけではありませんが、キャンセルする場合には誠意を持って伝えることが大切です。
一方で、売主側から見ると、この書類があることで「本気の買主がいる」と判断できるため、条件交渉や価格交渉に本腰を入れやすくなります。逆に言えば、買付がないと「買うかどうか分からない人」と見なされ、交渉に応じてもらえないこともあります。
この段階で次のような交渉が可能です:
- 価格交渉(指値)
- 引渡し時期の調整
- 設備の修繕や撤去、家具の残置など
また、交渉時や申込前に「なぜこの物件が売られているのか」など、背景も確認しておくと安心です。売却理由によっては、価格や時期の柔軟性に影響する場合もあります。
交渉前に確認しておきたいポイント例:
売却理由(住み替え、相続、離婚、資金繰りなど)
現在、雨漏りや設備不良などの問題がないか
過去に瑕疵があった場合、その際に他の部材(木部の腐食や下地材の劣化など)に波及していないかの確認
長期的に見て大きな修繕費が必要になるリスクがないか(専門家のホームインスペクションも検討)※ただし、一般の売主にはインスペクション(住宅診断)の実施義務はありません。買主からの希望に対して断ることも可能ですが、これを断ると買主の信頼を失い、売却機会を逃すリスクもあるため、交渉時には慎重な対応が求められます。
- 瑕疵や修繕履歴の有無(雨漏り、設備不良など)
- 近隣トラブルの有無
- 長期間売れていない理由
※口約束ではなく、交渉内容は必ず書面で残してもらいましょう。
ステップ5:重要事項説明を理解する
契約前に、宅地建物取引士から「重要事項説明書」の読み上げがあります。
確認すべき主な項目:
- 登記簿の内容(所有者・抵当権など)
- 都市計画・建築基準法上の制限
- ライフラインや管理費の状況
- 過去の災害歴や事故履歴の有無
▶ ワンポイント:疑問があれば必ずその場で確認を。不安を残したまま契約しない!
ステップ6:売買契約の締結
重要事項の説明を受けたうえで、売主と「不動産売買契約書」を締結します。
売買契約では、「売買代金」だけでなく、「引渡しの条件」を詳細に取り決めておくことが大切です。特に、以下のようなポイントを事前に確認・合意しておくことで、後のトラブルを防げます:
✅ 引渡し条件で確認すべき主なポイント
- 境界の明示:境界標の有無、境界確認書の提示
- 残置物の処理:家具・家電・庭木・物置など、何を撤去し、何を残すか
- 契約不適合責任の範囲と期間:引渡し後〇ヶ月以内などの明記
- 越境の有無:ブロック塀や雨どい、庭木の越境などがないか
- 引越し猶予の有無:引渡しから数日後に明け渡しとなる場合の責任分担
- 付帯設備の状態確認:給湯器・エアコン・照明などの不具合や残置の可否
- ライフライン・管理費等の精算:引渡し日を基準とした日割精算の取り決め
これらを「契約書本体」や「特約条項」「付帯設備表」「物件状況報告書」などの書面にしっかりと反映させましょう。
主な契約内容:
▶ 専門的には、"契約不適合責任"の免責範囲や期間をよく確認しましょう。中古住宅の場合、雨漏り・給排水管の不具合が争点になることも。
ステップ7:住宅ローンの本審査
契約後、住宅ローンの「本審査」を申し込みます。
金融機関による物件と収入審査
団体信用生命保険(団信)への加入
審査期間は2〜3週間が目安
本審査が通れば、金融機関と正式に金銭消費貸借契約(ローン契約)を結びます。
ステップ8:残代金決済と引渡し
最後に、引渡し当日の流れです:
残代金の支払い(通常はローン実行日)
所有権移転登記の申請(司法書士が代理)
鍵の引渡し
固定資産税・管理費の精算(引渡し日で日割)
この日をもって「法的にあなたの家」になります!
おわりに:家は“契約”からがスタート
私たちクラブハウスエステートは、熊本市を中心に、中古住宅のリノベーションや売買のサポートを行っています。「古い家でも、見えない安心と、住みやすさを大切に。」そんな想いで、一邸一邸に向き合い、設計・施工から契約サポートまでトータルに対応しています。
リノベ済み物件だけでなく、「これから買ってリノベしたい」という方にも、住宅購入からリノベプランのご提案、資金計画までしっかり並走いたします。初めての住宅購入でも、どうぞ安心してご相談ください。
本記事では、熊本で中古住宅やリノベーション物件を購入される方に向けて、不動産売買の契約における注意点や流れを解説してきました。特に「熊本 不動産」「熊本 中古住宅」「熊本 リノベーション」といったキーワードで検索される方にとって、安心して住宅購入を進めるための実践的なガイドとなる内容を意識しています。
購入契約はゴールではなく、安心して暮らすためのスタート地点です。分からないことは一人で悩まず、必ず信頼できるプロに相談すること。
不動産は「人選びが9割」とも言われる世界。専門性だけでなく、あなたの想いに寄り添ってくれるパートナーとともに、後悔しない家探しを進めていきましょう。